初めての土地購入ガイド:宅地購入時の注意点と生活に向けた準備
宅地や土地の購入は、人生のなかで何度も経験するようなことではありません。
そのため、初めて宅地や土地を購入しようとするとき、どのような点に注意すればよいのか分からず、不安を感じてしまう人は多いのではないでしょうか?
これから宅地や土地を購入しようと検討している人には、マイホーム建築の計画を立てているケースや、自ら新しいビジネスを始めようとしているケースなど、さまざまな背景があることでしょう。
どのような背景であったとしても、土地の購入が非常に重大なことであるのに変わりはなく、誰しもが慎重になるのは当然のことです。
そこで今回は、宅地や土地を買うときの注意点について、詳しく解説していきます。
土地の購入に関する基本的な注意点から、実際の購入時に押さえるべき具体的な注意点、購入後の生活を開始してから考慮すべき注意点まで丁寧に解説していくので、この記事を読めば土地購入全般に関する不安を払拭できるでしょう。
これから宅地や土地の購入を控えている人は、ぜひ最後まで読んでみてくださいね。
宅地・土地購入の基本的な注意点
まずは、宅地や土地を購入するなら最初に押さえておくべき基本的な注意点から解説していきます。
ここで紹介する基本的な注意点への理解が不足していると、実際に土地を購入した後に大きな失敗やトラブルを招いてしまう恐れがあります。
特に、土地の購入に関して完全な初心者といえる人は、以下の2つの基本的な注意点を初めにきちんと把握しておきましょう。
土地によって建築可能な建物は異なる
土地にはそれぞれ建築可能な建物の種類が定められており、購入前にその土地がどのような用途地域に指定されているかを確認することが非常に重要です。
まず、土地は大きく市街化区域と市街化調整区域に分けられます。
– 市街化区域: この区域は、都市計画に基づいて住宅や商業施設などを建築するために指定された地域です。ただし、市街化区域でもさらに住居系地域、商業系地域、工業系地域に分かれており、建てられる建物の種類が用途地域によって細かく規定されています。例えば、住居系地域では住宅や学校などが建築可能ですが、商業施設や工場の建設は許可されていません。
– 市街化調整区域: 一方、この区域では都市開発が抑制されており、新しい建物の建築が制限されています。ここで建築をするには、特別な許可が必要となる場合があり、たとえば「その地域で一定期間以上居住している」などの条件が課されることがあります。このため、市街化調整区域にある土地を購入する際には、事前に詳細な確認が必要です。基本的には新たな住宅や商業施設を建てることが難しいエリアです。
用途地域の確認は必須
市街化区域内でも用途地域によって建築できる建物が異なります。特に、住居系地域は住宅専用の地域であり、商業施設や工業施設の建築は制限されています。一方、商業系地域や工業系地域では、工場や店舗などが建設可能ですが、住宅に適しているとは限りません。用途地域による建築制限を理解し、土地購入前にどのような建物を建てられるかを確認しましょう。
土地の価格はどう決まる?
また、土地の価格は「地価相場」や「路線価」によって決まることが一般的です。
– 路線価とは、道路に面する土地の1㎡あたりの価格を示すもので、税金計算の基準となります。路線価は、国土交通省や税務署のホームページで確認でき、一般的に公示価格の80%程度が目安です。
– 公示価格は、国土交通省が公表する標準地の価格で、一般的な取引価格の参考となります。相続税や固定資産税の計算にも使われるため、土地の価格を知る際の重要な指標となります。
土地を購入する際には、周囲の土地価格との比較や、路線価・公示価格を基に、適正価格であるかどうかを確認することが大切です。
土地の所有者になると税金がかかる
宅地や土地を購入し、所有者になると、土地や建物に対してさまざまな税金が課税されます。以下に、代表的な税金について説明します。
– 固定資産税:
固定資産税は、土地や建物を所有している限り毎年課税される税金です。課税額は土地や建物の評価額に基づいて算定され、通常、毎年4月から6月ごろに市区町村から納税通知書が届きます。土地の評価額が高ければ高いほど、支払う税額も増えるため、購入前に事前に確認しておくことが重要です。この税金は、土地や建物を所有する限り支払いが必要なコストです。
– 都市計画税:
都市計画区域内の土地には、固定資産税と併せて都市計画税が課税されます。これは市街地開発や公共施設の整備に充てられる税金で、固定資産税と同様に土地の評価額に基づいて計算されます。都市計画税の税率は地域によって異なりますが、一般的には固定資産税と同じタイミングで納税が求められます。
– 登録免許税:
土地や建物の所有権を取得した際、登記を行うために登録免許税がかかります。登録免許税は、購入価格や土地の評価額に基づいて算定されますが、これは所有権を確保するための一度限りの支払いとなります。通常、土地の登記手続き時に支払います。
– 不動産取得税:
土地や建物を購入した際に課税されるのが不動産取得税です。この税金は、取得した不動産の価格に対して原則として4%が課税されますが、住宅用の土地や建物の場合には軽減措置が適用されることがあります。不動産取得税の納付通知書は、取得後数ヶ月から1年以内に届くことが一般的です。
土地の購入時には、これらの税金がどのくらいかかるのかを見積もっておくことで、後々の資金計画が立てやすくなります。特に、固定資産税や都市計画税は、毎年発生するため、長期的な支払い負担を考慮しておきましょう。
宅地・土地購入時の具体的な注意点
宅地や土地を実際に購入する際は、特にたくさんの注意点を押さえておく必要があります。
一般的な買い物とは異なり、宅地や土地などの不動産の購入には非常に大きな金額が動くことになるため、何らかの失敗をしてしまった際の後悔は計り知れません。
ここでは、宅地や土地を購入するときの具体的な注意点を6つ挙げて解説していきますので、1つずつしっかりと理解を深めていきましょう。
災害時における安全性を調べておく
宅地や土地を購入する際には、災害時のリスクを考慮し、安全性を確認することが非常に重要です。特に日本は地震や台風、大雨などの自然災害が多い国であり、災害時におけるリスクを事前に把握することで、安心して生活できる土地を選ぶことができます。
例えば、地震や水害が起きた場合、土地の地盤の強さが大きな影響を及ぼします。地盤が弱い土地では、建物が傾いたり沈んだりするリスクが高まるため、事前にその土地の地盤を確認しておくことが大切です。
地盤の強さは、ハザードマップを利用して調べることができます。ハザードマップでは、過去の地震や水害などの災害履歴を基に、その地域のリスクが視覚的にわかるように色分けされています。これにより、地震や津波、洪水、土砂災害などのリスクが高い地域を簡単に把握することができ、避けるべき地域や注意が必要な土地を確認できます。
また、ハザードマップだけではなく、地盤調査も行うことをおすすめします。特に、住宅を建てる予定の土地であれば、地盤調査報告書を取得し、地盤の状態を詳しく確認しておくと良いでしょう。これにより、万が一地盤が弱いと判明した場合、適切な地盤改良工事が必要かどうかを判断できます。地盤改良工事を行うことで、建物が災害時に被害を受けにくくなります。
災害時のリスクを考慮せずに土地を購入してしまうと、将来的に大きなリスクを抱えることになります。例えば、地震による液状化現象の危険性がある土地や、洪水や土砂崩れのリスクが高い地域に家を建ててしまうと、被災した際に家や財産に大きな被害が及ぶ可能性があります。
土地を購入する際は、ハザードマップや地盤調査を活用して、安全性の高い地域を選ぶか、災害リスクがある場合は適切な対策を取ることが重要です。例えば、建物の耐震性を強化する、浸水に備えて建物の基礎を高くするなどの対策が考えられます。これにより、災害リスクを最小限に抑え、安心して暮らせる土地選びが可能になります。
土地周辺を含めた高低差を確認しておく
宅地や土地の購入において、土地周辺を含めた高低差を確認しておくことも非常に重要なポイントといえます。
例えば、購入する土地が周りの土地に比べて低くなっている場合、雨水が流れてきて敷地内に溜まりやすくなってしまう可能性があるでしょう。
また、土地自体が斜めになっていて、敷地内で高低差が生じている場合にも注意が必要です。
敷地内に高低差があると、建物を建てるために土地を平坦にする工事を行わなければならず、工事費用が高額になってしまいます。
土地の高低差については、自分の目で見るだけでは把握しきれないことも多いので、土地の販売元の不動産業者などに聞いて確認しておくようにしましょう。
建ぺい率や容積率を把握しておく
土地には、建ぺい率と容積率という制限が設けられています。これらは、どの程度の規模の建物を建てられるかを決定する重要な指標です。土地を購入する際には、建ぺい率や容積率をしっかりと把握しておかないと、希望通りの建物を建てられない可能性があるため、事前に確認することが不可欠です。
– 建ぺい率とは、土地の面積に対して建物の建築面積が占める割合の限度を示す数値です。たとえば、建ぺい率が60%の場合、敷地面積の60%までしか建物の占有面積として使うことができません。建ぺい率が低いと、大きな庭を確保する必要がある一方で、建物の規模が制限されることがあります。
– 容積率とは、土地の面積に対して建物の総床面積(延床面積)が占める割合の限度を示す数値です。例えば、容積率が200%の場合、敷地面積の2倍までの総床面積を建物に使うことができます。これにより、2階建てや3階建ての建物が建設可能になることがあります。
具体例
例えば、敷地面積が100㎡で、建ぺい率が60%、容積率が150%の場合、最大で次のような建物が建てられます:
– 建ぺい率:100㎡の土地に対して、建物の建築面積は最大60㎡まで。
– 容積率:100㎡の土地に対して、総床面積は最大150㎡まで。2階建ての建物を建てる場合、各階の面積を合わせて150㎡以内に収める必要があります。
つまり、建ぺい率と容積率を確認しておかないと、土地の広さに対して希望する規模の建物が建てられない可能性があるため、事前にこれらの制限を正しく理解しておくことが大切です。
用途地域による影響
さらに、用途地域によっても建ぺい率や容積率は異なります。住宅地では建ぺい率が50%や60%に制限されることが多く、商業地や工業地ではより高い容積率が設定されることがあります。用途地域によっては、広い建物や高層の建物を建てることができるかもしれませんが、住宅地では広い庭や空地を確保する必要があるため、建物の大きさに制約がかかることが一般的です。
建ぺい率や容積率は法律によって定められており、特定の条件下で緩和措置が適用されることがあります。例えば、防火地域や角地の土地においては、規定よりも緩和された建ぺい率が適用される場合もあります。購入予定の土地がこれらの条件に該当するかどうか、自治体に確認しておくと良いでしょう。
土地購入時には、建ぺい率や容積率を確認し、それに基づいて建てられる建物の規模をしっかりと計画することが、満足のいく家づくりへの第一歩となります。
土地の境界線がどうなっているかを確認しておく
宅地や土地を購入するなら、必ず境界線がどうなっているかを確認しておきましょう。
通常であれば、土地の境界部分には境界を示すための杭が設置されているケースが一般的ではありますが、稀に境界杭を確認することができず、境界線が曖昧になっているケースも実際にあります。
このように、境界線が曖昧になっていると、購入後に隣地とのトラブルを発生させる原因になってしまうかもしれません。
境界線が曖昧な場合は、きちんと測量士によって境界を確定してもらい、境界杭を設置してもらいましょう。
手間がかかるように感じる人も多いかもしれませんが、境界線の確認は後のトラブルを未然に防ぐために極めて重要なことです。
車の出入りに不便がないかどうか確認しておく
宅地や土地の購入で見落としやすいポイントともいえるのが、車の出入りに不便がないかどうかという点です。
宅地や土地を購入するとき、地図や図面上で土地の形状を確認し、ある程度のイメージを掴むというケースは少なくありません。
しかし、実際に土地を購入して建物の建築が完成したあと、いざ敷地内に車を停めようとしたら停めにくいことに気づいたという失敗例は多くあります。
例えば、道路から敷地へ入るための間口が狭く、車1台通るのにギリギリの幅であれば、車の出入りをする度にストレスを感じてしまうかもしれません。
また、間口自体は十分な広さがあったとしても、前面道路と土地との間に歩道があり、縁石やガードレールの位置が車のスムーズな出入りを妨げているケースも多いので、注意が必要です。
土地を購入してから車の出入りの不便さに気がついたとしても、簡単に購入前に戻ることはできませんので、予め現地を見て確認し、可能であれば一度車の出し入れを実際にして確かめておいたほうが安心でしょう。
ライフラインの引き込み状況を把握しておく
宅地や土地を購入する場合、ライフラインの引き込み状況は必ず把握しておきましょう。
一般的に、最近までほかの住宅が建っていた土地のように、直近でライフラインが使われていたことが明らかである場合は、既に電気やガス、水道などが引き込まれていることが多くなっています。
しかし、もともと別の用途として使われていた土地や、新たな地域開発によってできた土地などの場合は、ライフラインの引き込みがされていない可能性があるので注意が必要です。
ライフラインの引き込みがまだされていない場合は、ガス管や水道管などを敷地内まで引き込むための工事費用を負担しなければなりません。
確認不足により思わぬ出費となってしまうことのないよう、早い段階で把握しておくことがとても大切です。
購入した宅地・土地での生活開始後の注意点
宅地や土地の購入に関する注意点は、購入するときのものだけではありません。
購入手続きが終わり、その土地での生活を実際に開始した後における注意点も同じぐらい重要なものといえるでしょう。
ここでは、購入した宅地や土地での生活を開始した後に考慮するべき注意点を4つ挙げて解説していきます。
宅地や土地は、購入したら終わりではなく、その後の期間のことを考えることも非常に大切なので、きちんと頭に入れておきましょう。
1.周囲との境界線を意識する
購入した土地での生活において、周囲との境界線を意識することはとても重要です。
境界線をまったく気にせずに過ごしていると、思わぬトラブルを引き起こしてしまう恐れがあります。
例えば、敷地内に庭スペースを設けてガーデニングを楽しんでいた場合、茎や枝などの植物の一部が境界線を超えて伸びていってしまうと、隣の敷地の所有者から苦情を受けることになりかねません。
また、車や自転車などを停める際にも、境界線を超えて駐車や駐輪をしていれば、隣の敷地へ迷惑がかかるでしょう。
たとえわざとではなくても、境界線を意識しないで生活を送っていたことで周囲に迷惑をかけてしまい、重大な近隣トラブルに発展してしまったというケースも少なくありません。
購入した土地での平穏な生活を手に入れるためにも、境界線はきちんと意識しながら過ごすことを心がけましょう。
2.雑草処理や害虫対策はきちんと行う
宅地や土地の所有者となった際は、敷地内の雑草処理や害虫対策は責任を持ってきちんと行いましょう。
土地の所有者である自分が気にならないからといって敷地内の雑草を放置し続けてしまうと、虫が発生しやすくなって近隣に迷惑をかけてしまったり、雑草の根っこによって建物の基礎を傷めてしまったりする可能性があります。
そのため、購入した土地の管理はきちんと責任を持って行わなければならないことを忘れないようにしましょう。
今まで賃貸住宅に住んでいた場合は、敷地内の雑草処理などは大家さんや管理会社が定期的にしてくれていたというケースが多いはずなので、自己所有の土地を持った際には状況が変わるということをきちんと自覚する必要があります。
3.土地購入時の売買契約書はきちんと保管しておく
購入した宅地や土地での生活を開始したあとも、土地購入時の売買契約書をきちんと保管し、紛失しないように注意しましょう。
土地の購入手続きが無事に終わり、その土地での新たな生活を開始すると、安心して売買契約書の扱いが雑になってしまうケースは少なくありません。
土地の売買契約書は、将来的に土地を売却するときに必要となります。
そのため、保管場所をきちんと決めずに紛失してしまうと、将来売却したいタイミングが訪れた際に困ってしまうでしょう。
購入した土地での新たな生活を開始する際は、まず売買契約書の保管場所をきちんと定めて、大切に保管するようにしてください。
4.毎年、土地の固定資産税がかかることを覚えておく
土地を購入した後は、毎年継続的に土地の固定資産税を支払わなければならないということを忘れないようにしましょう。
固定資産税は、土地などの不動産を所有している限り、年1回必ず支払わなければなりません。
特に、初めて不動産を所有する人の場合は、毎年固定資産税の納税通知書が届くことを忘れてしまいやすく、支払いの時期が来てから慌てて準備するといったケースも多いので注意が必要です。
固定資産税の納税通知書が届くのは毎年4〜6月ごろであるため、土地を購入する時期によっては購入してからある程度の期間が空いてしまうことになります。
そのため、1回目の支払いまで期間が空く場合は、忘れないよう事前にカレンダーなどにメモしておくのもよい方法でしょう。
宅地や土地を購入するには、押さえておくべき注意点がたくさんあります。
これから初めて土地を購入しようとしている人のなかには、注意点が多くて不安を感じる人もいるかもしれませんが、今のうちから1つ1つきちんと理解しておけばスムーズに土地を手に入れられるはずです。
購入した後のトラブルや後悔を防ぐためにも、この記事で解説した内容を参考に、注意点をしっかりと把握したうえで土地を購入するようにしてくださいね。
本記事は、住まいの価値を深く理解し、家づくりの夢を現実にするための情報を提供することに活力を注いでいる「OSUSUME HOUSING 運営事務局」によって執筆されました。東海エリアを中心に、全国の住宅情報を厳選し提供しています。